KnowBR:生物多様性調査の取り組みにおける地理的変動のマッピング

この論文は、種のオカレンス生データを自動的に分析し、調査の取り組みを評価、マッピング、特定できる新しいRパッケージを紹介しています。

GBIF 経由で使用されたデータリソース : 137,809 species occurrences
Anthidium manicatum
European wool carder bee (Anthidium manicatum) by Kyle Bland. Photo via iNaturalist (CC BY-NC 4.0)

ある種のオカレンスが明らかに不足していることは、必ずしも実際の種の不在を反映しているわけではなく、調査の取り組みが十分でないことで説明できることもあります。このような未知のバイアスは、何らかの対処をしないと、下流の分析で信頼できない結果に至る可能性があります。

この論文 は、スペインの研究者らがEcological Indicators誌上で発表したもので、対象地域における調査の網羅性を評価するKnowBRという新しいソフトウェアを紹介しています。KnowBRは、一次的な生物多様性情報源からフィルタリングされていない地理参照データを取得し、種累積曲線の傾きに基づいて、地理的単位(ユーザーが定義したセルまたはポリゴン)における網羅性を計算します。この曲線は、種の数とレコード総数(調査の取り組みの代理指標)の関係を表します。

著者らはこのツールを実証するために、GBIF.orgからすべてのハチ(ミツバチ上科) をダウンロードし、1度の解像度における調査の網羅性を評価しました。これらの分析により、データの一般的な不足とバイアスが明らかとなりました。ハチについて地図上の座標があるデータが含まれていた陸地のセルはわずか18%で、10件以上のレコードがあった種はわずか9%であることが明らかとなりました。累積曲線の傾きは0.01未満(100レコード当たり1種未満)と、1%のセルよりも少なくなりました。このツールによって、最もレコードが多いのは北アメリカ西部、中央ヨーロッパおよび北部ヨーロッパで、十分に調査されたセルの数が多いのはオーストラリアであることが特定されました。

原著へのリンク

Lobo JM, Hortal J, Yela JL, Millán A, Sánchez-Fernández D, García-Roselló E, González-Dacosta J, Heine J, González-Vilas L and Guisande C (2018) KnowBR: An application to map the geographical variation of survey effort and identify well-surveyed areas from biodiversity databases. Ecological Indicators. Elsevier BV 91: 241–248. Available at: https://doi.org/10.1016/j.ecolind.2018.03.077.