自然史コレクションにおける雌雄バイアス

200万点の鳥類・哺乳類標本から、特に名前のあるタイプ標本でオスに偏っていることが判明しました。

GBIF 経由で使用されたデータリソース : 6.6 M species occurrences
Colaptes auratus luteus
Female specimen of a northern yellow-shafted flicker (Colaptes auratus subsp. luteus) collected in Evanston, Illinois, USA. Photo via The Field Museum (CC-BY-NC 4.0)

生物の生物学的性別は、しばしば厄介なパラメータとして扱われたり、完全に見過ごされたりしますが、個体の生態や行動の多くの側面に影響を及ぼす重要な要因です。博物館のコレクションの標本の中で、偏った性比はそれらに依存する研究に深刻な影響を与える可能性があります。

この研究では、五つの主要な国際的な博物館に由来する240万以上の鳥類および哺乳類標本のGBIF上のレコードを調べました。鳥類では、20%が雌、31%が雄、49%は性別情報がなしで、一方、哺乳類では性別の判定がより簡単と思われ、性別情報なしの標本はわずか15%で、雄が44%、雌が41%でした。

このバイアスは、性別情報のない標本が雌であるためではありませんでした。野生では雌への偏りを示す種でさえも、標本間では雄への偏りが示されたのです。

著者らは、過去130年間にわたって性別のバランスに有意な改善が認められないことを見出しました。

この研究で最も注目すべき発見は、担名タイプの標本(ホロタイプholotype、シンタイプsyntype、レクトタイプlectotype、ネオタイプneotype)において、雌は鳥類の25%、哺乳類の39%だけであったことです。

Original article

Cooper N, Bond AL, Davis JL, Portela Miguez R, Tomsett L and Helgen KM (2019) Sex biases in bird and mammal natural history collections. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences. The Royal Society 286(1913): 20192025. Available at: https://doi.org/10.1098/rspb.2019.2025