海洋植物プランクトンは海洋の生産性において大変重要な役割を果たしていますが、光合成シアノバクテリアから植物に似た珪藻類にまで至る極めて多様な海洋生物の地球規模での多様性パターンはいまだほとんど知られていません。
GBIF、海洋生物多様性情報システム(Ocean Biodiversity Information System,OBIS)などからの百万以上のオカレンスレコードを、植物プランクトンの生態的ニッチに関わる重要な特徴を表す10個の環境変数と組み合わせ、論文の著者らは500種以上の分布をモデル化し、月ごとのデータフィールドにモデルを適用し、地球規模での予測を行いました。
著者らはこれらの予測を基に地球規模の植物プランクトン地図を作成し、高緯度に比べ熱帯では種の豊富さが3倍となることを示し、海面温度が最も重要な予測因子であるという代謝理論を裏付けました。
しかし、より冷たい水域では種の豊かさは予想よりも低く、緯度が35度から60度の地域では予想から最も大きい乖離を示しました。著者らは、環境の変動性が直接的に、あるいは競争的排除が強化されることで、種の豊かさの減少に何らかの影響を及ぼしている可能性があると示唆しています。